二日続けて映画館に通ったのは、アカデミー賞発表前に、大量ノミネート対象作を見たかったから。そういう客向けに?ちゃんと英語版上映を増やしてくれていて、まんまと映画館の思う壺。
で、昨日見たのが、
トゥルー・グリット True Grit
今日見たのは、
英国王のスピーチ[LINK] The King's Speech
で、私の感想は、この二つでいうと「英国王…」の圧勝でした。 私は自分でも良く分からない理由で涙流してました。時々あるんですが。悲しいからではなく、深い静かな充実感、生きてるかいがあった、みたいな感覚に満たされたとき、かなぁ。
映画が面白くて充実した、というのとは違う。バーティー=英国王が、そういう充実感を噛み締めているであろうシーンで、「それって最高だよね。よかったなぁおい。」という感情移入が、
あ、「感情移入」って便利な言葉があったなぁ。それですそれです。珍しくもない。
たまに人前で話しをしないといけないことがあります。苦手です。直前には結構練習してなんとかしのいでますが、まあまあうまくいっても胃がきりきり痛みます。
おまけに、今の会社では、同僚と話すのも英語なので、言葉が詰まって出てこないことはとてもよくあります。喋り始めたら黙るのもおかしいので、喋り続けますが、そこから先は文法ギタギタになります。で、結局通じないことも多い。ドイツ語喋れとまで言われてないだけましなんだけど。
というあたりが、強い感情移入を引き起こした原因でしょう。
ここから先はネタバレします。
で、どの映画でも、ストーリーとは別に、知らない世界を覗き見する楽しみがあります。この映画だと、20世紀英国王室の雰囲気を見たつもりになれるのがいいところ。特に、王に対する人々の振舞いと、さらにそれに対する王族の振舞いが面白い。
治療のために初めてライオネルの家を訪れたとき、治療方針でもめて、「私がヨーク公でもダメか?」と言われたときのライオネルの驚きよう。にもかかわらず結局だめ、と言われてしまうバーティ。
王になってから最初の公務の後、まだ小さい娘達を抱き寄せようとしたら、姉の方が妹に「ほら、おじぎして」と言って、二人そろって「国王陛下」と挨拶したりする。あの、背筋伸ばしたまま腰を少し落とすのは
っていうらしい。今調べました。なかなか見つからなかった。娘達、といっても、この姉が今のエリザベス女王だし。
国王夫妻がライオネルのうちに来ているときに、何も知らずに帰ってきて驚くライオネルの奥さん。それでもなんとかカーテシーはやっている。身についてるんですね。
素性の知れないライオネルの代わりに、確かな発声矯正教師を紹介すると言い張る大主教。言葉こそ選んでいるものの、国王相手にえらい横柄です。
バーティーの兄デイビッド=エドワード8世とその恋人のエピソードとか、チャーチルの傑物ぶりとか、チェンバレンの前の首相ボールドウィンが辞任の際の忸怩たる思いをバーティーに語るシーンとか、「おおぅ、それを見せてくれるのかぁ」と踊りだしたくなるような魅力的なシーンがいっぱい。
これに、「バーティーとライオネルはどもりをどうやって克服したのか」というストーリーも絡みます。どもりについては個人的にも身の回りにも知見がないので、喋り方や克服法がどのくらい当を得た描写になっているかは分からないのだけど。「自分の声を聞こえなくすれば話せる」「歌いながらなら話せる」「罵り言葉をいれながらなら話せる」という描写が、非常に面白いシーンをいくつも作っていたと思う。
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