暴走する列車をデンゼル・ワシントンが止めます。
このタイトルとあらすじを聞いて、「なーんか『スピード』の焼き直しみたいな映画だなぁ」と思った人がいたら、私と同じです。が、考え直した方がいい。予想をはるかに超えて面白かった。
アンストッパブル[LINK] Unstoppable
いや、「スピード」は面白かった。けなすつもりは全くない。ただ、あれと同じだと思って、こっちを見ないのはとても間違い。
ほとんど実話 ペンシルバニア州を走るAVWR-777という列車が猛毒の液体フェノールを満載したまま運転手なしに全速力で市街地を含む広い区間を暴走する、というのが映画の設定なのだけど、元の 実話 もほとんど変わらず、オハイオ州を走るCSX-8888という列車が(以下同文)というすさまじさ。
列車の番号から、この事件は Crazy Eights 事件とも呼ばれている、とあり、思わずキル・ビルのクレイジー88も思い出さずにはいられない。
設定だけでなく、誰がどうやって止めたかもほぼ実話のまま。本当にヒーローがいたわけね。
フェノールの毒性 下記ページによると、
Occupational Safety and Health Guideline for Phenol
32才の男性が頭から濃いフェノールをかぶって10分後に死亡した、とか、1gを経口摂取すると死亡しうる、だとか、中枢神経や肝臓や腎臓に害があるだとか、まぁ色々書いてあります。これを満載した列車が市街地を暴走したってのがヒドイ。
止まらなさが桁違い 「スピード」は路線バスが時速88kmを切ると爆発するよう仕掛けられて止まれなくなる話だったのに対し、こっちは、半マイル(1km弱)もの長さの列車が無人でフルスロットルで走り、時速114kmにも達するという設定。実話の方も、47両の貨車が時速82kmとありますね。なので、速度はほぼ同じとしても、バスの長さは10m前後ですから、仮にバス1台と列車1両を同じ重さとすると、50〜80倍重いわけです。で、重さ≒止まらなさですからね。
色恋沙汰なし 主人公は機関士と車掌の男性二人。他に、なんていうのかな、運行監視室みたいなところの室長らしき女性が活躍しますが、この人と主人公達は映画の最後まで直接会うことがありません。あと出てくる女性といえば、機関士の娘二人(二人とも Hooters で働いてる!)と、車掌の奥さん (故あって別居中)ぐらい。事態が事態なのでいちゃいちゃする暇があるはずもないのだった。
デンゼル・ワシントンがじいさんに 実は、あんまりデンゼル・ワシントンの映画ってみていなくって、むかーし、「ボーン・コレクター」のリンカーン・ライム役を見たくらい。アンジェリーナ・ジョリーがまだ新人として出てたころだからとても昔。で、精悍な青年のイメージが残っていたもので、最初彼が出てきても分からなかったのでした(ついこないだハリソン・フォードについても同じことを書いたなぁ)。彼が経験豊富な定年間近の機関士です。
暴走にはクリス・パイン=カーク船長がよく似合う 一方、役職上は車掌=デンゼルの上司ながらも経験の浅い新入社員をクリス・パインがやってます。スター・トレック以外で彼を見るのは初めて。最新のスター・トレックで疾走感あふれるカーク船長をやったクリス・パインが暴走列車を追うのはとても似合ってました。
まぁ、他にも無能な上司が立てる対応策とか、一歩間違うと大災害になるところだった警察の作戦とか、すこーし人的ドラマも入れてますが、一番の主役は、半マイル列車の圧倒的な運動量でした。
セコメントをする