星野先生の解説 が懐かしいけど、正直理解が及びませんでした。ボンベ、という解読装置の名前だけが印象に残ってます。
映画の題名のイミテーション・ゲームは何のことだろう、と思っていたのだけど、チューリングテストのことらしい。チューリングテスト、というのは、将来人工知能が発達したとき、どこまで発達したら人と同等の知能を得たといえるか、という問いに対して、チューリングが提案した判定法。人間の審判が、壁の向こうにいる被験者と文字だけでやり取りをして、被験者が人間か、人工知能かを探る。審判が人間だと確信した被験者が人工知能だった場合、その人工知能は人と同等の知能を持つと言える、という話。まぁ、一つの考え方ではある。
暗号を解読しても、その結果を使うのはとても面倒、という話も、かなり丁寧に説明してました。敵の暗号を解読したら、そのことを敵に知られてはならない。知られたら、敵は暗号の仕組みを変えてしまい、また解読をやり直さなければならなくなる。そして、解読したことを敵から隠すためには、解読して得た情報を使って、味方を救ったり敵に奇襲をかけたりしてはいけない。暗号が漏れない限り分かるはずがない情報に基づいてこちらが行動すると、暗号が解かれていることに敵は気づいてしまうから。
では、暗号解読は全く無駄かというと、そうではなくて、解読結果を使う際に、暗号が解かれていると相手が気がつかないように工夫すれば使えます。そのために、まず解読結果はめったに使わないようにします。100回の戦闘が100回とも失敗すると、敵は何かおかしいと思いますが、数回急にこちらの行動が変わっただけでは、偶然そうなったのかもしれず、敵は確信が持てません。さらに、解読結果を使う場合には、なぜその情報をこちらが知ったのかを説明できる、嘘の情報を流します。
ニール・スティーブンスンのクリプトノミコンはフィクションですが、アラン・チューリングとエニグマ暗号解読の話が出てきます。そこでは、英軍が上記の隠蔽工作を行うためだけの専属部隊を持ち、主人公の一人はその部隊に所属して、その工作のためだけに敵地で活動していたりします。でも、エニグマ暗号が解読されたことは最高機密なので、この専属部隊には知らされておらず、この部隊は分けもわからず謎の任務を遂行する羽目になります。
あと、ぜんぜん今まで聞いたことがない話としては、ブレッチリーパークの数学者達の中に、ロシアのスパイがいて、しかもMI6はそれを知っていて泳がせていた、というんですが、これは実話かなぁ。いまググッたら、ジョン・ケアンクロスは確かに ソ連のスパイ だったらしいけど、MI6が当時それを知っていたかどうかは何も言及がないなぁ。
ジョン・ケアンクロス役のアレン・リーチは、ダウントン・アビーでも、ブランソン役でロシア革命に共感を寄せるセリフを喋ってましたね。あの時代の社会主義者っぽく見える顔なのかなぁ。
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