マーズ・アタックを思い出した。よく似たシーンがあるんだよね。
Kingsman: The Secret Service (邦題:キングスマン)
キック・アスの製作者達が作ったスパイ映画。とっても面白かったけれど、キック・アスと同じく、お行儀の悪い映画です。決して子供連れで行ってはいけません。
スパイ映画のコメディといえば、オースティン・パワーズという、行儀の悪さでは誰にも負けない映画もあるんだけど、あれとこれでは行儀の悪さの種類が違う。こっちの行儀悪さは、キック・アスで、ヒットガールが薙刀で次々と悪漢を倒すシーンがありますが、あの感じです。ただし、ここで「悪漢を倒す」というと、お行儀の悪さが伝わらない。言い方を変えると、あれは、「10歳ちょっとの少女が嬉々として小悪党を刺し殺し続ける」というシーンなわけで、その身も蓋もなさを10倍増しにしたと思えばだいたいあってる。
スパイ映画の伝統にのっとり、この映画のスパイ組織もイギリスにある。イギリスらしさを豪華なキャストが盛り上げてます。主役のベテランスパイは、英国王のスピーチで国王だったコリン・ファース。また、オースティンの父ちゃん=これも伝説のスパイ、ナイジェル・パワーズ役のマイケル・ケインが、この映画ではスパイマスター、つまりスパイ組織のトップをやってます。
このスパイ組織「キングズマン」のスパイはそれぞれイギリスのアーサー王伝説の登場人物にちなんだコードネームを持つ。スパイマスターが「アーサー」で、スパイ達は「ランスロット」や「ギャラハッド」、スパイ達の後方支援役は宮廷付きの魔法使い「マーリン」。
あ、マーリン役は、マーク・ストロングです。キック・アスにも出てましたが、イミテーション・ゲームでは実在のMI6のトップ、スチュアート・ミンギス役でした。
キック・アスがある意味スパイダーマンのパロディであるのと同様に、キングズマンは007のパロディとも言える。本歌取りの要素は数知れず。 一方、どうもタランティーノ映画を意識したらしい要素も多い。分かりやすいのは、敵役の親玉バレンタインの側近の女性部下。前髪を水平に切り揃えたロングの黒髪の武闘派美人で、どう見てもキル・ビルのゴーゴー夕張=栗山千明にしか見えません。しかも彼女の両足の先端は、南アのパラリンピック短距離ランナー、ピストリウス選手のようなブレードになっていて……
バレンタイン役のサミュエル・L・ジャクスンもパルプ・フィクションや最近ではジャンゴで、タランティーノ映画での印象が強い。
さらに。パルプ・フィクションでブッチ少年が父の形見の腕時計を受け取るシーンにそっくりなシーンが。コリン・ファースは作戦中に亡くなった同僚スパイの妻に、彼の死を伝えに行く。妻は取り乱して話ができないので、コリン・ファースは同僚スパイの6歳の息子に話しかける。「何か困ったことが起きたら、このバッジに助けを求めるといい」、そういって、キングズマンのマークを型どったバッジを渡す……
以下、ネタバレ。
一番強烈な印象を残すのは、怪電波に操られたコリン・ファースの大殺戮シーン。ここで、この映画、少しタガが外れてるぞ、と気がつくが、もう遅い。その後には、マーズ・アタックで、地球の歌を聞いて火星人の頭が次々弾け飛ぶシーンのパロディのような、玉屋〓鍵屋〓の花火大会があり、ジャック・ニコルソンさながらの母親がドアをぶち破るシーンあり。悪党退治が済んでから、某国王女の下にシャンパン持って駆けつけるまで、なすすべもなく、お行儀をかなぐり捨てたシーンを見続けるしかない……
のだけど、満足感ある。アクション映画をたくさん見ていればいるほど、このシーンはあれの本歌取りかぁ、というのが山ほど見つかる。それでいて、パロディ映画ではなくて、オリジナルな話だと思わせる。
お行儀の悪さに耐性がある人は是非。
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