子供の頃に食べたお菓子が今は手に入らなくなったので、少し探してみたら、なんとか近いものが見つかった。
昔、東京駅八重洲口の地下街に、トレッカという菓子店があった。喫茶店も兼ねていたかもしれない。かもしれない、というのは、自分で行ったことはなかったからだ。父が東京に出張に行くと、いつもお土産に、トレッカのフルーツケーキを買ってきてくれた。
フルーツケーキ、というより、パウンドケーキという方が分かりやすいか。決してふわふわしていない、ずっしり重いパウンドケーキで、レーズン他のドライフルーツが入っていた。独特のスパイスの香りもあった。
一口サイズの直方体に切りそろえてあった。縦4㎝横5㎝奥行1㎝ぐらいか。なにせ40年以上前のことなので不確か。
一切れずつ、内側が銀色の紙で包装されていた。紙の外側は銀の地に紫で模様が描いてあったと思う。
父が買ってきてくれたお土産は、12個入りぐらいの箱だったと思う。どの一切れも重ならないように、横にならべてあった。
今、トレッカという店は東京駅にはない。30年ぐらい前に、大人になってから自分で東京駅に行った時にはまだあったのだけど。
ネットで探しても、それらしきものは見当たらない。ただ、店の名前は出さなくても、「あのお店の味を再現」みたいな形でトレッカのことを言っているらしきパウンドケーキのレシピとかは見つかる。
で、きっと今でも似たものはどこかに売っているだろうと思って探してみた。
当たってみたのは以下の三つ。
パブロフはひとから教えてもらった。横浜中華街と元町の間にある、パウンドケーキ専門店。持ち帰りもできるが、店で食べるのがメインだと思う。かわいらしい制服のウェイトレスが愛想よく対応してくれる。うちの奥さんと一緒に行った。
店の名前がついた、パブロフセットは、あまいパウンドケーキ3種と、キッシュのような食事系のパウンドケーキ3種に飲み物がついてくる。今回、パウンドケーキについて調べて、甘い方はケーク・シュクレ、食事系はケーク・サレという、と知った。砂糖味のケーキ、塩味のケーキってことだよね?まんまやね。
おいしくて、ボリュームもあるのだけど、トレッカとは違う。わずかに、チョコレートがかかったケーク・シュクレのケーキ部分が重みがあって、トレッカに似ている気がした。
うちの奥さんはケーク・サレが気に入ったそうで、数日後、家でも作ってた。僕は甘い方がいいな。
ル・コフレ・ドゥ・クーフゥは、たまプラーザ東急のデパ地下にあるのを見かけて買ってみた。
ケーキの写真は、店のサイト[LINK]か、この雑誌の記事[LINK]を見てほしい。僕が買ったのは、雑誌記事の下の方に、「ノエル用スぺシエル」とあるやつだ。これは季節限定らしくて、店のサイトには載ってない。お店の人は、たしか、ベラベッカ、と言っていたような気がするが、記憶が定かでない。しばらくネットで探してみて、フランス語のWikipediaに、 Beeraweckaの記事を見つけた。アルザスからドイツ、オーストリア、チロル地方あたりの年末に食べるお菓子だそうだ。
これは大当たり。ケーキ部分は、重さと言い、スパイスの香りといい、トレッカそっくりだと思う。一切れずつ個別包装のトレッカとは違って、こちらのケーキは上にドライフルーツやナッツが乗っていてさらにゴージャスだけど、雰囲気は損なっていない。
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