ブラック・スワン(2)
2011-01-25


昨日の続き。思いっきり内容に触れてます。

演出家トマが確信犯のセクハラの限りを尽くして「自分を解き放つんだ!」と言ってもニナがほいほいとそうできないのはなぜか。

ニナの母親エリカに支配されているから。エリカにとってニナはまだ子供。子供にするようにニナの世話を焼く。ニナのお部屋はぬいぐるみで一杯。やさしいお母様。

でもこの人怖いです。ニナがスワンクイーンに選ばれた日、家に帰るとお祝いのケーキをエリカが用意してます。「お祝いなんだからいいじゃない」と、大きな一切れをとりわけようとするエリカを、そんなに食べるわけにはいかないとニナが止めると、急に形相が変わって

 「じゃぁこんなケーキなんかゴミね!

と、いきなり丸ごとケーキを捨てようとする。あわてて謝るニナ。

いやー、エリカは悪人だろ。悪人といって良いんじゃないかな。悪…

うーん、だけどエリカには悪意のかけらもないのですよ。母親としては困ったタイプだと思う。娘を構うのはいい加減にしろよと思う。けど、娘を心配しているには違いない。それだけにニナはなかなかエリカに逆らえない。

ニナがついにエリカを振り切って「良い子」から大人の世界に脱出するきっかけを作るのは、
リリー。トマが選んだもう一人のスワンクイーン。肩甲骨の所に翼のタトゥーを背負ってます。トマが黒鳥に求める奔放さを完璧に備えたリリー。

ニナがエリカの支配を耐えがたく思い始めたとき、リリーが家にやってきて、ニナを外に連れだします。そのまま二人は夜の歓楽のフルコースへ。

翌朝寝過ごすニナ。あわてて稽古場に駆けつけると、リリーは平然と中央で踊っている。トマの指示で、隅っこで寂しく練習するニナ。「リリー許すまじ!ゴーッ (by かわうそ)」

でもなぁ。これはリリーが悪いとは言えないだろ。そりゃぁ、ちょっと怪しげな薬をニナの酒に混ぜてたりしたけど、リリーも同じ薬を飲んでたし。リリーにしてみれば、いつもの気分転換にニナも誘っただけ。翌朝きちんと稽古場に来てるなんざぁ見上げたもんだ。

うん、リリーも善人認定。むしろ癒し系。

あとは誰かいたっけ。あ、ベス=ウィノナ・ライダーだ。トマのカンパニーの花形、だった人。ニナに地位を奪われて、錯乱して、挙句に事故にあって入院する人。激しくニナを憎んでいるものの、到底悪人とはいえません。ウィノナ・ライダー、ビートルジュースの頃からすると、はるけくもきつるものかな。役と現実がダブります。

と、いうわけで、回りに誰も悪人がいないのに、ニナは勝手に潰れていくのでした。

はぁ、だめだ、書いてて気が滅入ってきた。「だから魍魎は苦手だと言っただろう。」

…今の誰?

が、終盤、ニナは弾けます。続く。多分。

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