昨日の続き。思いっきり内容に触れてます。
演出家トマが確信犯のセクハラの限りを尽くして「自分を解き放つんだ!」と言ってもニナがほいほいとそうできないのはなぜか。
ニナの母親
エリカに支配されているから。エリカにとってニナはまだ子供。子供にするようにニナの世話を焼く。ニナのお部屋はぬいぐるみで一杯。やさしいお母様。
でもこの人怖いです。ニナがスワンクイーンに選ばれた日、家に帰るとお祝いのケーキをエリカが用意してます。「お祝いなんだからいいじゃない」と、大きな一切れをとりわけようとするエリカを、そんなに食べるわけにはいかないとニナが止めると、急に形相が変わって
「
じゃぁこんなケーキなんかゴミね!」
と、いきなり丸ごとケーキを捨てようとする。あわてて謝るニナ。
いやー、エリカは悪人だろ。悪人といって良いんじゃないかな。悪…
うーん、だけどエリカには悪意のかけらもないのですよ。母親としては困ったタイプだと思う。娘を構うのはいい加減にしろよと思う。けど、娘を心配しているには違いない。それだけにニナはなかなかエリカに逆らえない。
ニナがついにエリカを振り切って「良い子」から大人の世界に脱出するきっかけを作るのは、
リリー。トマが選んだもう一人のスワンクイーン。肩甲骨の所に翼のタトゥーを背負ってます。トマが黒鳥に求める奔放さを完璧に備えたリリー。
ニナがエリカの支配を耐えがたく思い始めたとき、リリーが家にやってきて、ニナを外に連れだします。そのまま二人は夜の歓楽のフルコースへ。
翌朝寝過ごすニナ。あわてて稽古場に駆けつけると、リリーは平然と中央で踊っている。トマの指示で、隅っこで寂しく練習するニナ。「リリー許すまじ!ゴーッ (by かわうそ)」
でもなぁ。これはリリーが悪いとは言えないだろ。そりゃぁ、ちょっと怪しげな薬をニナの酒に混ぜてたりしたけど、リリーも同じ薬を飲んでたし。リリーにしてみれば、いつもの気分転換にニナも誘っただけ。翌朝きちんと稽古場に来てるなんざぁ見上げたもんだ。
うん、リリーも善人認定。むしろ癒し系。
あとは誰かいたっけ。あ、
ベス=ウィノナ・ライダーだ。トマのカンパニーの花形、だった人。ニナに地位を奪われて、錯乱して、挙句に事故にあって入院する人。激しくニナを憎んでいるものの、到底悪人とはいえません。ウィノナ・ライダー、ビートルジュースの頃からすると、はるけくもきつるものかな。役と現実がダブります。
と、いうわけで、回りに誰も悪人がいないのに、ニナは勝手に潰れていくのでした。
はぁ、だめだ、書いてて気が滅入ってきた。「だから魍魎は苦手だと言っただろう。」
…今の誰?
が、終盤、ニナは弾けます。続く。多分。
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